真昼なのに昏い部屋/江國香織

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江國香織の描くヒロインはいつもわたしに
「絶対に親しくなれないタイプ」と思わせる。
何を話せばいいかわからなくて、
それこそお天気レベルのうわべだけの会話で終わりそう。
しかも別れた時はどっと疲れて・・・

でも、いざ腹を割ったら言葉にせずとも共感しあえるような気もする。

今までにない文体が斬新な最新作。

谷崎の「陰影礼賛」を愛し、昼でも薄暗い木造アパートに住む
アメリカ人のジョーンズさんは母国での結婚生活に破れ、
東南アジア放浪の果て日本に住み着いて15年。
あちこちの大学で教えている。

会社を経営する夫と、軍艦のような邸宅に住む美弥子さんは
「いつ誰に見られてもいいように、自分がきちんとしていると
思えることが好き」な主婦。
そんなふたりが惹かれ合い、おずおずと距離を縮めていく・・・

言葉に出さないのに、同じことを感じている確信とか、
みなまで言わなくともわかりあえるとか

おそらく誰にでも経験のある、男女間の不思議な電磁波みたいなもの。
そういう感覚がスーッと自然に沁み込むように表現されている。


美弥子さんの夫・浩さんは、江國作品によく登場する夫の典型。
上記のような電磁波の存在など知らず、理解することもできない
浩さんのような人種も世の中にはたくさんいる。
そういう人をパートナーに選んでしまったら不幸だ。

ジョーンズさんの友人・イタリア人陶芸家ナタリーが
「やだ、この人たちやりたがってる」とピンとくるシーンが笑える。
そういう独特の濃い~空気って、
いわゆる「ちょんバレ」ってやつですもんねぇ(笑)

'10 4 ★★★★☆
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by gloria-X | 2010-04-15 12:20 | ブックレビュー