エ / ン / ジ / ン / 中島京子

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エンジンという片仮名の字面だけを見ると、車などの発動機を連想するが、
「あなたのお父さんはたいへんなエンジンカだったのよ。
厭世家ともいうわね、たいへんな人嫌いだった」と
母親に聞かされて育った少女ミライは、鏡を意識する年頃になり、
自分の顔を見て「エンジン」が漢字だったことに気づく。

おもしろくて不思議な小説だった。
'70年代、ヘンリー・ダーガー、ウディ・アレン、
特撮ヒーロー番組、アメリカの反戦運動etc・・・
不思議なオープニングから予想外に話が広がっていくおもしろさ。
登場人物誰もがかなり個性的だが、嫌味がなく好感がもてる。
あらすじを説明しても、そのおもしろさは伝わらないし、
おもしろいか否か、読む人を選ぶような小説だと思う。


中島京子の著書は、斉藤美奈子氏が書評集の中で絶賛していた
「ツアー1989」というのを読んだことがある。

~1989年の香港ツアーで一人の青年が消えた。
そして、彼のことは同じツアーに参加した人々の記憶からも欠落していた。
15年後、彼の行方を追う駆け出しライターは、
当時流行していた「迷子つきツアー」という奇妙な旅に行き着くが~

「おもしろそう!」と思ったものの、やや期待ハズレだったのだが、
図書館でふと手に取った本書は楽しめた。
日本近代文学史上に輝く田山花袋の『蒲団』をみごとに打ち直したという
「FUTON」も読んでみようと思う。

'10 3 ★★★★★
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by gloria-x | 2010-03-07 16:09 | ブックレビュー