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待つこと、忘れること?/金井美恵子

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辛口エッセイ。

辛口にもいろいろあるけれど、
この著者の辛口はアグレッシブすぎず、
知的だけど理屈っぽくなく、博識だけどひけらかす感じではなく、
どことなく鷹揚で品があっていい。

世の中には、いやな女というのが確実にいて、
世間知らずのゆえに、というか頭が悪いせいで、
お節介というか訳知りのことを発言したりします。


↑と同じ内容をたとえば林真理子なんかが書いたら
もっと底意地悪くドロドロした感じになりそうだし、
中野翠だと見下して斬り捨てる印象になりそう。
(どちらの著書も愛読してるけど)
金井美恵子の場合は、言ってることはキツイんだけど
どこかサバサバしてるというか、裏がないというか、
いつまでも根に持たない人のような感じがする。

↓には共感しまくって爆笑!

マルグリット・デュラスが何かのインタヴューで言っていたとおり、
(中略)口うるさくて自分勝手で、訳のわからないことを言いつのって、
子供にとっちゃ母親はみなキチガイよ、誰でも嬉しそうに
自分の母親はキチガイだったと言う、と語ってましたが、
まったくそのとおりで、今でも姉と二人、頭にきて
にくったらしい女だったよね、と言い合うことがあるくらいなのですが
(中略)
私たちの周囲には、母親的女性というものが
絶えずどこにでも存在していて、
母親的な、訳のわからないあれやこれやを
絶対的に正しい真理であるかのように口にし、
こちらがグーの音もない、という目にあわされ、
テキは勝ち誇ったように、フフンと鼻先で笑うのです。


著者は画家の姉と二人暮らしだそうで、
(わたしには姉妹で暮らすなんて絶対ムリだけど)
独身で年齢を重ねた女性ならではの
いい意味での浮世離れ感満載でけっこう楽しそう。

毎晩必ずお酒を飲みながらの食事の記述にも惹かれる。
詳細なレシピはないが、試してみたい料理が多々あった。

'09 11 ★★★★★

by gloria-x | 2009-12-03 15:20 | ブックレビュー