悲しみよこんにちは/BONJOUR TRISTESSE '57(米・英)

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サガンの小説「悲しみよこんにちは」を読んだのは13歳くらいの頃。
漠然と「小説家になりたいなー」などと
考えていたわたしは強烈な影響を受けて
「日本のサガンになる!」と身のほど知らずに決心したものだった。

以来、サガンの小説はほとんど読破。
この映画の存在も子供の頃から知っていたので
観たことがあると思っていたら初見だった。

モノクロとカラーを使い分けたりしてるし、
もっと「おフランス、おフランス」したエスプリやアンニュイたっぷりの
映画かと思っていたら、なんだか期待ハズレ。
だって監督も役者もほとんどイギリス、アメリカ人。
健全で元気よすぎる印象なのだ。
どうしてフランス人がこれを映画化しなかったのだろう?

オットー・プレミンジャー監督、名前は聞いたことあるけど
作品リストを調べたら「栄光への脱出」「危険な道」「軍法会議」etc・・・
タイトルからしてに男臭くて固そうな作品イメージだもの。

それに役者たちがハイテンションで喋る喋る・・・
時代的なものだろうけど、いかにも「お芝居」的なセリフ回しで
テンパってる感じでちょっと疲れる。

そしてなにより言葉の問題!
英語でサガンをやっても雰囲気出ないよねー。



主人公セシールは金持ちでプレイボーイの父親とパリで2人暮らし。
父親のことを「レイモン」と名前で呼び、
彼の派手な恋愛遊戯を共犯者的な態度で楽しんでいる。
なぜなら愛する父はどんな女にも本気にならないから。
夏は南仏の別荘で享楽的なバカンスを過ごす2人。
レイモンの恋人で売れない女優のエルザもいるが、
セシールは陽気なエルザと楽しくやっている。
そこへ亡き母親の友人でデザイナーのアンヌが訪れる。
セシールはアンヌの出現に漠とした不安を覚える。
それは父との自堕落な生活に終止符が打たれる予感だった。
予感は的中、レイモンはアンヌと結婚するという。

セシールカットなんていう言葉が生まれたほど
当たり役だったジーン・セバーグ。
キュートちゃあキュートだけど、
小生意気なお転婆娘を演じすぎというか
パキパキしすぎてパリの金持ちワガママ娘って感じがしない。
でも、わたしより上の世代の人にとっては一種の永遠の偶像なのかも?

プレイボーイの中年父はデヴィッド・ニーブン。
これもちょっと違うんだよねぇー。
ジーン・セバーグと同じでプレイボーイを演じてるだけという感じ。
奔放で享楽的な役にしては色気が足りない。
根っこは真面目な紳士というのがチラチラ見えて、
こう、黙っててもにじみ出てくるフェロモンが皆無。

そしてアンヌ役はデボラ・カー。
これは役柄的にそうだけど、いかにもピューリタン的。

とにかく主要キャスト3人が
優等生的でおもしろみがないのだ。


エルザ役はミレーヌ・ドモンジョ。
美人で陽気だけど人間的に深みのない女、という役だけど
実は彼女がいちばん賢かったのでは?
カジノでシャンパン飲みすぎて酔っ払ってる間に
レイモンとアンヌは親密になって抜け駆け。
セシールは「アンヌが気分悪くなってパパが連れて帰った」とごまかすが、
エルザは酔ってるにもかかわらずすべてを察知して
「じゃあわたしは今夜帰るところがないわ」
そして最後もセシールの策略に乗った体で、余裕の演技だ。

まあ、公開当時に観ていたら印象も違ってたかも?
映画としては期待ハズレだったけど、
生まれ変わったらあんなバカンスを過ごす身分になりたい。
でも、視覚的にそそられたのは「リプリー」のバカンスのほうが上。

'09 8 WOWOW ★★☆☆☆
監督:オットー・プレミンジャー
出演:ジーン・セバーグ、デヴィッド・ニーブン、デボラ・カー
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by gloria-x | 2009-08-04 23:36 | 映画レビュー