もう切るわ / 井上荒野  恒文社 

一人の男の妻と愛人が、男との日々や心情を倦怠感たっぷりに一人称で語る話。
最初は語り手が二人の女だということがわかりにくく、
現在と回想が交差しているのかと錯覚する。
著者自身、あとがきで故意にわかりにくくしたと述べているが、
それが効果的だとも思えない・・・。

こういう世界が好きな人もいるのだろうけど、
わたしは登場人物の誰にも好感が持てず感情移入や共感ゼロ。

特にがんで死んでいく中年男がダメ!
だらしなくいいかげんで、口のうまさで他人を手玉に取るセコい詐欺師タイプ。
上手に描けばどこか憎めない魅力的なキャラクターになりそうなものだが、
わたしは嫌悪感しか覚えず、二人の女がこの男のどこに惚れているのか不思議だった。

語り手の一人である愛人もわたしが大嫌いな種類の女。
なんとなく婚約解消し、会社をやめて雑貨屋で暇つぶしみたいなバイトをし、
他人の夫と不倫しつつ、その恋に対してもどこか一歩引いたような
冷めたようなスタンスを取っている。
生活感や生命力が希薄でアンニュイぶった独白を延々と続けるという
まったくうっとうしい女である。
帯のコピーを江國香織が書いているが、いかにも 江國香織好みの世界だと思う。

'05 3 ★★☆☆☆
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by Gloria-x | 2005-03-19 11:23 | ブックレビュー