グラン・トリノ/GRAN TORINO '09(米)

c0008209_1138255.jpg
まったく記憶がないけれど、洋画ファンだった両親談によると
わたしの初めての映画館体験はイーストウッドの西部劇らしい。
赤ん坊のわたしを連れて両親が観たのは「奴らを高く吊るせ」だとか。
その洗礼か、小学生の頃からイーストウッドの大ファンである。

ルックス的には「ダーティハリー」の頃がかっこよさのピークだと思うけど、
晩年の枯れて飄々とした風情もいい。
顔の造作とか遠目の全身像が我が父に似ているのだ。
(父がイーストウッドに似てきたというべきか)

チェンジリング」に続きイーストウッド監督、老いてますます冴えてる感じ。
味わい深く、長く心に残るであろう素晴らしい作品だった。
ラストにちょっとだけ流れる彼の歌声も◎
c0008209_13513160.jpg
イーストウッド演じるのはポーランド系がんこ親父コワルスキー。
人種的偏見も強く、苦虫噛み潰した顔で絶えず毒を吐いている。
実の息子2人とは長年の確執があり、嫁や孫たちにも疎まれ、
愛犬相手にビールを飲むだけの孤独な毎日。
映画は彼の妻の葬儀から始まり、妻の存在感はほとんどないのだが
そんなコワルスキーがラスト近くで言う
「わたしは地球上で最高の女性と結婚した」に意表をつかれた。

「息子たちにはどう接すればいいかわからなかった」と後悔をこめて話す彼が
妻を愛し、しあわせな結婚生活を送った男だとわかってホッとする。
やっぱり基本は夫婦の絆ですね。
子供は血が繋がってるというだけで、人間として合うとは限らないもの。

実の息子と縁の薄いコワルスキーは
隣家のモン族移民の少年(父親がいない)と擬似父子関係を築いていく。
これって「パーフェクトワールド」でも描かれた関係だけど、
血のつながりよりも人間としての相性が大事ってことでしょう。

c0008209_11413319.jpg
c0008209_11414792.jpg
映画初出演という2人。どっちもいい味出してた。
異人種ギャングの抗争に否応なく巻き込まれ犠牲になる若者、というテーマは
他の映画でもいろいろ観たけど、モン族という存在は初耳で新鮮だった。
c0008209_11384260.jpg
モン族のギャングたち。彼らもオーディションで選ばれた素人らしいけど、
どいつもこいつも生理的嫌悪感満点!
よくぞここまでリアルにキモ悪いキャスティングできたなぁと感心。
c0008209_1138532.jpg
コワルスキーを教会に誘い、妻の遺志である懺悔を勧める若い神父。
最初は「世間知らずの27歳の童貞のくせに!」と
罵倒されても仕方ないヘタレな印象だが、
後半、宗教的しがらみに囚われず個人としての意見をはっきり言って見直した。

この横顔いいわー。枯淡の境地って感じ。
これが俳優としての見納めだなんて悲しすぎる・・・
c0008209_1139446.jpg


'09 5 6 劇場 ★★★★★
監督:クリント・イーストウッド
出演:クリント・イーストウッド、ビー・バン、アーニー・ハー
[PR]

by gloria-x | 2009-05-07 11:33 | 映画レビュー