逝年 coll boyⅡ/石田衣良

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前作「娼年」は、石田衣良の著書の中でも
好きな作品の上位に入る。
普通の大学生である20歳の男のコが、
偶然の出会いから高級秘密クラブにスカウトされ、男娼としてナンバーワンになっていく物語。


なので、とっても期待した続編なのだが、
結果は「かなり期待はずれ」
今後の石田作品に不安を感じるほどである。


男娼を買う客は高収入の「洗練されたいい女」ばかり。
いくら高級クラブとはいえ、知的で容姿も魅力的で
人間的にもまともな客だけなんてありえない!
セックスシーンが全然エロくないのはさておき、
主人公リョウが客である中年女性を賛美する視線が
あまりにもキレイごとっぽくて嘘臭い。
クラブメンバーたちとの関係も人情話的でクサいし、
極めつけはリョウをスカウトした静香と、その娘・咲良と3人で行う「儀式」!
これはもう理屈抜きで生理的に気持ち悪かった。

石田衣良の魅力は、どんな物語においても「人間を観る視点の優しさ」だと思う。
人間性善説というか、彼の小説にはほとんど悪人が出てこない。
しかし、最近はそれがちょっと鼻につくというか、ワンパターンというか・・・


本作の前に読んだ「夜を守る」
アメ横の治安を守るガーデイアンの話なのだが、
一見「池袋ウェストゲートパーク」風味かと思いきや、
中身はベビーフードみたいに安心安全、刺激ゼロで肩すかしだった。

前作「娼年」を読んだ'04年当時、わたしはこう書いている。
「同じような世界や物語を書いても、
村上龍ならギラギラと露悪的な印象を受けて辟易するし、
山口洋子ならもっとシビアで現実的になるが、
この著者の視点や表現にはロマンスを感じる。」

皮肉だけど、今となっては村上龍や山口洋子、ついでに
馳星周や桐野夏生のエッセンスを加味してくれてもいいかもと思ってしまう。

'09 3 ★☆☆☆☆
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by gloria-x | 2009-03-10 23:32 | ブックレビュー