左岸/江國香織

c0008209_16364261.jpg「冷静と情熱の間」に続いて辻仁成とコラボした長編小説。とにかく長い!
一人の女の半生を描くのだから長くなるのは当然とはいえ、途中かなり中だるみも感じた。

主人公・茉莉のキャラクターが一貫しているようでどうも掴みどころがない。
幼い頃のエピソード的にはエキセントリックな「不思議ちゃん」系と思いきや、
高校中退⇒駆け落ち⇒同棲⇒破綻⇒故郷に戻って大家族の嫁になるあたりは刹那的なようで根は純な「ヤンキー」系にも思えたり・・・


一転、パリで画家のサロンに集う人間たちとの享楽的な生活に浸り、
東京のバーで働き、娘を育てながらいろんな男と寝てソムリエ資格をめざすなど、
女としてのタイプがバラバラに感じるのはわたしだけ?

現実の人間というのは学習し、成長するものだから
こんな風に同じ人とは思えないほど激変することもあろうが、
小説としてそれをやられると感情移入しにくい。
波乱万丈系のストーリーは好きだけど、主人公のキャラは一貫してないとなぁ。

父親が大学教授、母親も英国留学後ガーデニングの一人者になるような家の娘なのに、
両親が駆け落ちを黙認、挫折して別の男を連れて帰ってきても温かく迎えるというのは、
いくら両親が変わり者とはいえ都合よすぎる気がする。
都合よすぎるといえば、茉莉と関わった男たちが、関係が終わったとたん
ほんとにきれいさっぱり消えてしまうのもねぇ・・・

あと、茉莉の人生に常に影のようにチラつく幼馴染の少年・九のキャラがさらに不可解。
ま、抱き合わせの辻人成「右岸」を読めってことなんだろうけど、
こっちだけでお腹いっぱい・・・
コラボ小説ってどうなんでしょうねー?

文句ばかり並べたが、茉莉が故郷で開くバーの描写はとても魅力的。

'08 12 ★★★☆☆
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by gloria-x | 2008-12-04 16:36 | ブックレビュー