あるいは裏切りという名の犬/36 Quai des Orfevres '04(仏)
スパイシーで重く濃いワインを堪能したような後味。
無骨で華やかさ皆無だけど、噛めば噛むほど味わい深く
知らず知らず引きこまれていく
ずっしり見ごたえ十分なフィルム・ノワール。
パリ警視庁にかつて親友同士だった二人の警視がいた。
仲間からの信頼厚く、正義を信じるレオと、
権力志向が強く野心家のドニ。
二人は同じ女性を愛し奪い合った過去を持ち、
今は次期長官の座を競うライバルとなっていた。
まず日本語タイトルがいい!
昔、TVの洋画劇場で魅せられた
アラン・ドロンやジャン・ギャバン主演映画みたいでドラマがある。
実話を基にした物語らしいが、
パリ警視庁の面々といいギャングといい、
どいつもこいつも男の体臭ムンムンって感じで濃いー!
比べるともなく、リュック・ベッソンがらみのフランス映画(けっこう好き)って
フランス料理でいえばヌーベル・キュイジーヌで
ハリウッド風のライトな味付けなんだなーってことを再確認するほど
フランス臭プンプンなのだ。
レオを演じるダニエル・オートゥイユ、
わたしはオヤジ趣味じゃないのでピンとこないけど、
後半出所して数年ぶりに一人娘に会いにいくシーンは
「こなれたチョイ悪オヤジ上級者」って感じでなかなか渋かった。
実の親子なのに年齢差のあるカップルに見えるところが
かっこよくもイヤらしいというか・・・
アジア人には絶対醸し出せないな、あの空気。
ジェラルド・ドパルデユー、ますます鼻が成長したのでは?
角度によっては特殊メイクかと思うほど。
ガタイの方も貫禄たっぷり、なのに目は妙につぶらで
悪役っぷりも含めジーン・ハックマンに似ているような気がした。
2人がかつて奪い合い、レオの妻になった女性を演じるのがバレリア・ゴリノ。
「レインマン」で好印象だったが、フランス語もできるとは意外だった。
でも、あの時代を無視したカーリーヘアと不幸な太眉はいただけない!
9割方男の映画とはいえ、けっこう重要な役柄の女刑事も
魅力的な役どころなのに鶏のササミみたいにカスカスした印象だったし、
この映画、ヘアメイクやスタイリストをケチったのでは?
いや、男を際立たせるためにわざと女を魅力的に描かなかったのか?
そういえば、レオもドニも私生活完全犠牲みたいなライフスタイルなのに
なかなかスタイリッシュな住まいだったのが意外。
パリ警視庁って思ったより高給なのねー。
'07 7 DVD ★★★★☆
監督:オリヴィエ・マルシャル
出演:ダニエル・オートゥイユ、ジェラール・ドパルデュー
バレリア・ゴリノ
by Gloria-x | 2007-07-24 23:09 | 映画レビュー