ゆれる '06(日本)
温和で真面目な兄、
父と折り合いが悪く
故郷を飛び出して好きな道に生きる弟、
基本は古今東西よくある設定。
兄は独身で女に縁がなく、
家業のガソリンスタンドを継いでいる。
弟も独身だが東京の売れっ子カメラマンで女には不自由したことがない。
母親の一周忌で久々に弟が帰省したことから、2人の人生を激変させる事件が起きる。
ガソリンスタンドには兄弟の幼なじみの女が勤めている。
兄は密かに彼女に好意を寄せているが、女にモテないと自覚しているので
下手に告白などして傷つくのが怖く「いい人」を演じ続けている。
兄を演じる香川照之が見事!
ルックス的にはまったく好きな要素がないが「上手い役者だなー」といつも感心する。
東京で華々しく活躍する弟に比べ、自分の人生は価値がないと卑下しながらも
いい人であることをやめられない不器用な男。
法事の席で親戚に気を使って座を盛り上げ、かいがいしく後片付けし、
ちんまりと正座して洗濯物をたたみ、上目遣いに弟や好きな女の表情をうかがい、
目が合えば人の良さそうな満面の笑顔を見せる。
香川照之の小柄であまり垢抜けないルックスが切ないほどマッチしている。
弟は弟で、自分はいつも何かから逃げてばかりのいいかげんな生き方だと思っていて、
真面目な兄にすべてを押し付けたことに後ろめたさを感じている。
兄と女の息の合った仕事ぶりを見た弟は、軽いいたずら心で女を誘惑し、
未来も希望も見出せない田舎暮らしの閉塞感と焦燥を持て余していた女は
東京の空気をまとって見違えるようにかっこよくなった弟に身を任せてしまう。
オダギリジョーを嫌いという女性はまずいないと思う。
もちろんわたしも好きですが、
仮にわたしが山田優みたいなルックスの持ち主だとしても彼とつきあいたいとは思わない。
まあ、山田優みたいなボディだったら一回くらいメイクラヴするかもしれないけど、
なぜか彼にはあまりセックスアピールを感じないのである。(何様発言で恐縮です・・・)
弟が退屈しのぎにどうでもよさそうに女を誘惑する時の掴みどころのない態度、
そしていったん目的を達した後の冷淡さ、
たぶんオダギリジョー本人も女性に対してこうなのだろうなと思うほどリアルで、
この捉えどころのなさと、他者より自分に対する関心が強そうに見えるところが
オダギリジョーの魅力でもあり、
好きだけどつきあいたくはないと思わせる点でもあるのだろう。
弟と女に何かあったことに気づきながら、気づいていることをおくびにも出さない兄、
弟との関係を脱出へのきっかけにしようとする女、
兄への後ろめたさと、女の予想外の重さに辟易する弟、
兄が日々渇望しても手に入れられないものを
弟は遊び半分であっさり手に入れ、すぐ嫌になって放り出そうとする。
この3人が峡谷を訪れるシーンはそれぞれの思惑が渦巻いて息苦しいほど。
美しい自然と重く不穏な空気の対比が見事である。
そして、古い吊り橋から女が落下。
兄は自分が女を突き落としたと自白して殺人罪で逮捕される。
唯一の目撃者である弟は兄を救うために弁護士である伯父に裁判を依頼する。
蟹江敬三演じる伯父は伊武雅刀演じる父親の兄であり、
ここにも都会へ出て自由に生きる兄、田舎に残った弟という兄弟間の確執がある。
やがて裁判が始まり、事件の真相を探る過程で
兄と弟がお互いに巧妙に隠していた本音が顕になっていく。
温厚だった兄が鬼気迫る表情で感情を剥きだしにし、
クールな弟が内面の弱さを露呈する。
このあたりの主役2人の迫真の演技に引きこまれる。
検事役の木村祐一、ガソリンスタンド従業員役の新井浩文など脇役陣もすごくいい。
'07 4 16 DVD ★★★★☆
監督:西川美和
出演:オダギリジョー、香川照之、伊武雅刀、真木ようこ、
蟹江敬三、木村祐一
父と折り合いが悪く
故郷を飛び出して好きな道に生きる弟、
基本は古今東西よくある設定。
兄は独身で女に縁がなく、
家業のガソリンスタンドを継いでいる。
弟も独身だが東京の売れっ子カメラマンで女には不自由したことがない。
母親の一周忌で久々に弟が帰省したことから、2人の人生を激変させる事件が起きる。
ガソリンスタンドには兄弟の幼なじみの女が勤めている。
兄は密かに彼女に好意を寄せているが、女にモテないと自覚しているので
下手に告白などして傷つくのが怖く「いい人」を演じ続けている。
兄を演じる香川照之が見事!
ルックス的にはまったく好きな要素がないが「上手い役者だなー」といつも感心する。
東京で華々しく活躍する弟に比べ、自分の人生は価値がないと卑下しながらも
いい人であることをやめられない不器用な男。
法事の席で親戚に気を使って座を盛り上げ、かいがいしく後片付けし、
ちんまりと正座して洗濯物をたたみ、上目遣いに弟や好きな女の表情をうかがい、
目が合えば人の良さそうな満面の笑顔を見せる。
香川照之の小柄であまり垢抜けないルックスが切ないほどマッチしている。
弟は弟で、自分はいつも何かから逃げてばかりのいいかげんな生き方だと思っていて、
真面目な兄にすべてを押し付けたことに後ろめたさを感じている。
兄と女の息の合った仕事ぶりを見た弟は、軽いいたずら心で女を誘惑し、
未来も希望も見出せない田舎暮らしの閉塞感と焦燥を持て余していた女は
東京の空気をまとって見違えるようにかっこよくなった弟に身を任せてしまう。
オダギリジョーを嫌いという女性はまずいないと思う。
もちろんわたしも好きですが、
仮にわたしが山田優みたいなルックスの持ち主だとしても彼とつきあいたいとは思わない。
まあ、山田優みたいなボディだったら一回くらいメイクラヴするかもしれないけど、
なぜか彼にはあまりセックスアピールを感じないのである。(何様発言で恐縮です・・・)
弟が退屈しのぎにどうでもよさそうに女を誘惑する時の掴みどころのない態度、
そしていったん目的を達した後の冷淡さ、
たぶんオダギリジョー本人も女性に対してこうなのだろうなと思うほどリアルで、
この捉えどころのなさと、他者より自分に対する関心が強そうに見えるところが
オダギリジョーの魅力でもあり、
好きだけどつきあいたくはないと思わせる点でもあるのだろう。
弟と女に何かあったことに気づきながら、気づいていることをおくびにも出さない兄、
弟との関係を脱出へのきっかけにしようとする女、
兄への後ろめたさと、女の予想外の重さに辟易する弟、
兄が日々渇望しても手に入れられないものを
弟は遊び半分であっさり手に入れ、すぐ嫌になって放り出そうとする。
この3人が峡谷を訪れるシーンはそれぞれの思惑が渦巻いて息苦しいほど。
美しい自然と重く不穏な空気の対比が見事である。
そして、古い吊り橋から女が落下。
兄は自分が女を突き落としたと自白して殺人罪で逮捕される。
唯一の目撃者である弟は兄を救うために弁護士である伯父に裁判を依頼する。
蟹江敬三演じる伯父は伊武雅刀演じる父親の兄であり、
ここにも都会へ出て自由に生きる兄、田舎に残った弟という兄弟間の確執がある。
やがて裁判が始まり、事件の真相を探る過程で
兄と弟がお互いに巧妙に隠していた本音が顕になっていく。
温厚だった兄が鬼気迫る表情で感情を剥きだしにし、
クールな弟が内面の弱さを露呈する。
このあたりの主役2人の迫真の演技に引きこまれる。
検事役の木村祐一、ガソリンスタンド従業員役の新井浩文など脇役陣もすごくいい。
'07 4 16 DVD ★★★★☆
監督:西川美和
出演:オダギリジョー、香川照之、伊武雅刀、真木ようこ、
蟹江敬三、木村祐一
by Gloria-x | 2007-04-18 17:25 | 映画レビュー