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ムッソリーニとお茶を Tea with Mussolini '00(伊)

1935年、イタリア・フィレンツェ。
元イギリス大使夫人へスター(スミス)や芸術を愛するアラベラ(デンチ)をはじめとする
イギリス人たちは英国人特有のシニカルさから町の人々に「サソリ族」と呼ばれていた。
ある日、イタリア人服地商の秘書メアリー(プローライト)の元へ
服地商の隠し子ルカがやってくる。
母親に会いたい一心で施設を脱走したルカの処遇に困った服地商は
「英国紳士に育ててくれ」と息子をメアリーに押し付けたのだった。
「サソリ族」にサポートを求めたメアリーはルカにシェイクスピアを、
アラベラはイタリア芸術のすばらしさを教え、
ルカは英国婦人たちに愛されてすくすくと育つ。
やがてイタリアは第二次大戦に参戦、イギリスと敵対することに・・・・

マギー・スミスは存在そのものがイギリスだ。
彼女がそこにいるだけで大英帝国の伝統、格式、誇りなどなどが
絵に描いたように出現する。
(生きた大英帝国男性版はマイケル・ケインだろう)
懐の深さを感じさせるジュディ・デンチ、ジョーン・プローライト、
気取ったイギリス人と好対照のアメリカ人らしい自由な空気を醸し出す
シェール、リリー・トムリンなど個性的な芸達者揃い。
イギリス人、アメリカ人、イタリア人がお互いに相手をどう思っているか、
日本人には肌感覚でわかりっこない白人世界の人種ヒエラルキーみたいなものが
おもしろい。イタリアの風景、美術、衣装も見事で贅沢な見ごたえ。

それにしてもイギリス人って、強制収容所で自分たちを支配している敵兵にさえ
有無を言わさず英語を押し付けるんだから恐れ入る・・・
自国の言語、歴史と文化、習慣に対する誇り高いスタンスは
たとえ爪の垢を分けてもらっても日本人には一生マネできないだろう。

そして、ヨーロッパの男の子と犬ってなんであんなに可愛いんだろう!
自然体というか媚びないというか、犬と少年はほんとに愛すべき生き物だ。

'04 7 13 BS2 5段階評価★★★★★
監督:フランコ・ゼフィレッリ
出演:マギー・スミス、ジュディ・デンチ、シェール、ジョーン・プローライト
    リリー・トムリン、ベアード・ウォレス

by Gloria-x | 2004-12-09 13:52 | 映画レビュー