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ファミリーポートレイト/桜庭一樹

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好き嫌いで言えば「嫌い」
しかし、読み応えはあった。ただし第一部だけ。
でも著者が書きたかったのは第二部なのだろう。
第一部はいわば「客寄せ」

ママの名前は、マコ。マコの娘は、コマコ。
あなたとは、この世の果てまでいっしょよ。
呪いのように。親子だもの。
若く、美しく、残酷な母を守るために、
マコの「小さな神」として産み落とされたコマコの
5歳から34歳を描く長編。


濃密な母娘の放浪の旅を描く第一部は
嫌悪感を覚えながらもどうしようもなく引き込まれて一気に読破。
母マコのキャラクターが強烈で、ネガティヴ方向に魅力的。
それとは対極的なコマコの精神的大人度が健気だ。
「葬式婚礼」など架空の風習のアイデアも秀逸!

「すこぅし」「くったりと」など著者独特の言葉使いは
官能的で効果的だが、「すこぅし」は乱発しすぎて後半鼻につく。

怒涛のような第一部から第二部に入ると、突然パワーダウンして退屈になる。
近未来の荒廃都市のような高校生活を描いた部分は
ダラダラ長いだけで自己満足的だし、
コマコが成長し、作家になってからの部分は
著者自身の魂の叫びの押し付けという感じでうっとうしかった。

成長後のコマコ役は
南海キャンディーズのしずちゃんを勝手にキャスティング。



'10 3 ★★★☆☆

by gloria-x | 2010-04-07 12:28 | ブックレビュー